琉球の風

試合開始の１０分はお互い探り合いの状態。最初のチャンスは町田。
自陣深く、右サイドからのフリーキックに、うまくマークを外した五番の選手がドンピシャヘッドも森本の真っ正面。
続いておよそ５分後に相手キーパーからのパントキック一発で裏に抜けた七番の勝又に左サイドからフリーで打たれるも左ポスト直撃。
琉球は先発の杉山が裏に抜ける動きをするがうまく体をぶつけられ攻めの形が作れない。
中盤の構成力は五分五分だが、前半はここに差があった。ところが前半３０分に２０番が初田に対するチャージで一発退場。後ろからいく悪質なものだった。数的優位になるが前半はそのまま相手の出方を伺うように終了。

後半からは琉球が前掛かりになる。５分、左サイドから切れ込んだ杉山が打つも右に切れる。
続いて中村がチャンスを作りフィニッシュまで持っていくがこれも右に切れていく。
町田は繋ごうとしているが、琉球にことごとくカットされるようになってきた。
そして２０分過ぎ。相手陣深くの左サイド、コーナーフラッグ付近で田中ヤスが倒されてフリーキックのチャンス。
キツカーの鈴木が、中央のペナルティーアーク付近にいたフリーの松田とアイコンタクト。
一瞬そこに出すと思った。町田ディフェンスもそこにつられた。キーパーもエリアにいる琉球の選手にあわせると思ったのだろう。
裏をかいたように鈴木のキックは綺麗な弧を描いて逆サイドのネットに突き刺さった。キーパーの手をすり抜けて入る見事なゴールだった。
ちょうど、このゴール裏に琉球サポが陣取っていたので、目の前のゴールに大興奮の瞬間だった。
これにより町田は繋ぐことを諦め、３３番の木島のスピードを頼りに裏へロングボールを蹴りはじめるが、これを中央センターバックの二人がことごとく対応。ラインの上げ下げの指示も的確でオフサイドの山を築く。琉球の攻めはなお続く。

２５分過ぎ、相手左サイドで中村がカット。そのまま前方を走る松田へ。中を良く見た松田は交代で入った山下へ。
その山下から中央に切り込む秦へ、そして右サイドを駆け上がってきたフリーの國中へ。
狙いすましたランニングシュートはキーパーの指に触ることなく、綺麗に左スミへ。
落ち着いてランニングシュートを決めるまでの流れるようなパスワークは、6000人を集めた町田の観客を黙らせるのには十分だった。
あとは落ち着いてボールを回していく。数年前の琉球なら考えられないようなシーン。時間を稼ぐ山下のプレーには魂が入ってたし、國中のプレッシャーに、町田はボールを下げざるをえなかった。サポ連中も、俺達も最後まで気を引きしめていくぞ、と気合いが入っていた。
ロスタイムは三分あって、一瞬の気の緩みからか失点はしてしまったが、数的優位をうまく利用した琉球の完勝であった。

試合後の選手には笑顔が溢れる、サポと共にその勝利の余韻にひたった。

マンオブザマッチは決勝点の國中といいたいが、やはりゴール前に立ちはだかった大澤を押したい。
全員がハードワークした見事な勝利だった。


以上、魔法の左足さんのレポートでした。
読んでいて、毛がたちました。
現地で観たからこそのレポート、最高でした。
ありがとうございました。

アウェイで6000人を黙らせる勝利、その場にいたかったな